
神谷智昭(月?木曜日)、岡田葉平(月?木曜日)、池田康利(月?金曜日)が担当しています。
スポーツ/関節鏡外科、膝関節診療
スポーツ整形外科診療
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前十字靭帯再建術
症状:「膝がグラグラする」「膝に力がはいらない」「膝が完全に伸びない」などです。日常生活に支障がない人もいますが、ジャンプ、着地、ダッシュ、ターン、ストップなど急激なスピードの変化を必要とするスポーツを行った場合、膝がずれ、その衝撃で転倒する「膝くずれ」を起こす可能性が高くなります。
原因と病態:前十字靭帯(ACL)は膝関節の中央にあって、脛骨が前方にずれるのを防ぐ役割をしています。そのため前十字靱帯が損傷されると膝関節に不安定性を生じることになります.半月板や軟骨の損傷を合併することがあります。
手術:内側ハムストリング腱と呼ばれる膝後内側の腱を束ねたものか、または膝前方の膝蓋腱とよばれる腱の一部を用います。関節鏡にて関節内を観察しながら、正確な位置にドリル孔を穿ち、ネジやボタンにて上記の腱に適切な張力をかけ固定します。手術による傷は、膝の周辺に3ー6cm程度ですが、半月板縫合術にはさらに数cmの追加皮膚切開が必要となります。また、関節鏡の刺入などのため、1cm程度の傷が数カ所必要となります。
前十字靭帯損傷のほぼ半数に認められる半月板損傷に対して可能な限り温存修復術を同時に行います。
再建術後の再断裂、他院での再建術後に症状が強い(膝崩れ、不安感、疼痛、関節に水がたまる)症例の治療件数が多いのも特徴です。
半月板損傷
半月(板)とは大腿骨と脛骨(けいこつ)の間に存在し、大腿から受ける荷重を分散して衝撃を吸収する作用(ショックを吸収する作用)と膝関節の安定性や円滑な運動をもたらす役割を担っています。
損傷するきっかけ: スポーツ中に膝をひねる、高いところから飛び降りる、膝を深く強く曲げるなど過度の負担をかけた場合に損傷することがあります。また、膝の靱帯損傷の既往があり、元々ゆるい状態であった場合には軽度の負荷が繰り返されて損傷することがあります。
症状: 歩行時や運動時の膝関節の痛み、腫脹だけでなく、膝崩れ(膝をひねるとずれる感じがする)、キャッチング(何となく引っかかるが膝が動かせる)やロッキング(引っ掛かる感じがして膝が動かせない)といった症状が特徴的です。ロッキングをした場合には膝をまっすぐに伸ばせないこともあります。
手術:以前は、損傷した半月を切除することが主な治療法とされていましたが、半月切除後に長期間経過観察すると関節軟骨が傷むことから、現在では温存を目的とした治療が重要視されています。 私たちは、可能な限り半月の温存を図っています。ただし、半月の変性が強く、縫合しても治癒が期待できないと判断した場合には損傷した半月を部分的に切除します。
手術には関節鏡と呼ばれる内視鏡を用います。関節鏡手術では膝の前面2-3箇所に1cm程度の切開をいれ、そこからカメラや器具を挿入して、関節内の処置を行います。半月を縫合する場合には、膝の側面に約3cm程度の切開が必要になります。

膝蓋骨脱臼
手術:我々は、膝蓋骨の内側支持機構である内側膝蓋大腿靱帯(Medial patellofemoral ligament; MPFL)再建術を第一選択としております。膝蓋骨と大腿骨のMPFLの付着している位置に性格に骨孔を作成し、ネジやボタンにて上記の腱を固定します。症例によっては外側支帯解離術?骨切り術が必要となる場合がございます。成績をおさめています。

高位脛骨骨切り術
日本人の多くはO脚変形を伴っており、内側型の変形性ひざ関節症に罹患しやすいと言われております。下腿(脛骨)を矯正し、内側にある荷重軸を外側に移動することで損傷した軟骨や半月板への負荷を減じることを目的とします。我々は、同時に関節内治療といわれる半月修復術(制動術?縫合術)も併用することで、可能な限り関節を温存し、膝機能の回復を目指しております。下腿(脛骨)の矯正だけでは不十分な際には 大腿骨の矯正も行います。骨切り術には複数の術式があり、その患者さんの膝の状態に併せて術式を選択しております。
またX脚を伴う外側型の変形性ひざ関節症に対しては、大腿骨遠位骨切り術にて治療しております。

人工膝関節置換術
変形性膝関節症や関節リウマチなどが引き起こす膝の痛みやこわばりにより日常生活が著しく障害された患者様に対して行われます。関節表面の傷んだ骨を削って金属とポリエチレンをかぶせることで、骨と骨が直接こすれる痛みが楽になり、活動的な生活を取り戻すことができる優れた手術です。万博体育3.0手机版では最新の技術によって患者様の負担軽減と更なる膝関節機能の向上を目指しています。
① 手術後の痛みを軽減
当院麻酔科と協力し、合併症が少なく手術後も痛みを抑え続ける神経ブロックと、膝の周囲へ麻酔薬を直接投与し痛みを確実に抑える局所浸潤麻酔を組み合わせています。手術翌日の回診では殆どの患者様に「全然痛くなかった」と仰って頂いています。
② 手術による身体への負担を軽減
手術中の出血を減らす目的で大腿部を締めて血流を止める「駆血帯」は、血栓や神経麻痺を起こす可能性もゼロではありませんでした。万博体育3.0手机版では駆血帯を使わずに(または最小限の使用時間で)、止血剤や特殊な電気メスを活用することで出血量を増やさずに手術が行えています。また後述する手術支援ロボットを導入することで、更なる負担軽減が実現できています。
③ 患者様それぞれの膝の形に適した手術方法による機能向上
手術後の膝に求められる機能は、痛みがないこと、スムーズに曲げ伸ばしができること、ぐらつかずしっかりと力が入ること、などです。実はこれらを両立するのは容易ではなく、骨を削る量や角度が非常に重要です。以前は手術器具や人工関節の耐久性の課題から、どの患者様も術後は一律同じ形になるよう骨を切る方法(メカニカルアライメント法)が一般的でした。しかし近年、皆さんのお顔に個性があるように膝の形も多種多様であることが分かり、個性ある膝の形を一律同じにしてしまうと、人によっては違和感やバランスの悪さを感じてしまう可能性があります。そこで患者様それぞれの、変形する前の膝の形に戻す方法(キネマティックアライメント法)が提唱され、万博体育3.0手机版でも採用しています。これによって以前より膝の曲がりがよく、早く歩けるようになり、結果として早く退院できるようになっています。長期的にも従来の方法より耐久性が劣ることは無いと報告されています。手術後は病気による変形(O脚やX脚)が矯正され、変形する前(患者様それぞれの若い頃)の脚の形に戻ります。
④ 手術支援ロボットの活用
手術中に骨の三次元形状をコンピュータに入力し、骨を削る角度や厚さを0.5°/0.5mm単位で調整しながら決定すると、ハイスピードカメラで制御された骨鋸が骨切り平面上に誘導され、、術者がトリガーを握るだけで正確に骨切りが行えます。さらに膝を屈伸する際の内側?外側の靱帯の張り具合も数値化され、手術後の靱帯バランスを予測することができます。従来の人工膝関節置換術は、骨切り角度や厚さを決めるために金属棒を骨内に挿入したり、金属製の骨切りガイドを骨にピンで固定するなど多くの手作業があり、手早く正確に行うには熟練を要するものでした。手術支援ロボットではこれらの作業が不要となるため患者様の身体への負担が少なくなり、さらに手術時間を短縮できます。また従来は靱帯の状態は術者の手の感覚に委ねられていましたが、手術支援ロボットによって客観視できるため、膝を曲げても伸ばしてもきつすぎず、がたつきのない最適なバランスの膝関節に仕上げることができます。
